北辰テストは埼玉県で実施される、いわばローカルテストと言えます。
V模擬は進学研究会が行っている、高校入試対策としての模擬テストのことです。
では、どちらを受けるべきなのでしょうか…
そこで本記事では、
- 北辰テストの特徴とメリット
- V模擬と北辰テストの違い
を解説します。
【この記事がおすすめな人】
- 結果から自分の実力を客観的にみつめたい
- 合否判定から志望校を絞り込みたい
よし
- 学習系Webライター
- 高校受験を経験
- 得意教科は数学と英語
- 執筆に携わった記事は数百を超える
北辰テストとは
まずは北辰テストについて、具体的にどんな特徴のあるテストなのかを確認しましょう。対象となっている学生やスケジュールなど、実際にテストを受ける際の参考とすることができるでしょう。
埼玉県在住の学生向けのテスト
北辰テストは、1952年に第1回が実施された、非常に歴史のある学力テストです。埼玉県内の学生をメインターゲットとしたテスト内容となっていて、少なくとも県内に志望校を定めている学生のうち、実に90パーセント程度が利用しています。開始からすでに70年以上が経ってもなお、多くの学生が利用していることからも分かるように、北辰テストは信頼度が高く、受験対策の基本とも言えるようなテストなのです。
埼玉県下のかなりの学生が受けるので、県内における学力判定にぴったりです。より自分の学力に合った志望校を決めるのに役立ち、学力のギャップに悩まされることがなくなります。安全な決め方ができるため、北辰テストの結果を参考にするのはとても有効と言えます。
もう一つのポイントは、北辰テストが埼玉県内の私立高校の合格基準の一つとなっているということです。つまり、北辰テストで一定以上の点数を取っていると、それを合否の一つの基準として採用してくれるということです。私立高校に入学するにあたって、北辰テストはかなり重要性が高いので、公立だけでなく、私立を目指す学生にとっても受けたい試験と言えます。
早くからテストを受けられる
この北辰テストの大きな特徴は、中学1年生の段階から受けられるという点にあります。そのため、まだ高校受験のことを真剣に考えていない生徒でも、自分の学力を知ることができ、早い段階で志望校に関する方向性をつかむことができます。また、繰り返し受けることで、自分の学力がどう変化していくのかということも分かるのが特徴です。
そして、学校内で行われる試験とは異なり、本番の雰囲気を持つテストを受けられるので、いわゆる「テスト慣れ」ができます。試験がどのような雰囲気の中で行われるかを体験することで、メンタルを強くすると共に、無用な緊張を避けられるわけです。
北辰テストの実施スケジュール
北辰テストは、中学1年向けには年に1回実施されます。そして、中学2年次には2回実施されます。入試が近づく中学3年には、4月から1月にかけて合計8回行われます。年によって実施月は変わりますが、毎月テストがあるというイメージでいると良いでしょう。
このように、北辰テストは中学生時代に合計11回受けることになります。そのため、実力の推移を確認することが簡単になりますし、本番に備えていく助けともなります。
また、中学3年向けの7回目と8回目のテストは、2つのバージョンが用意されています。数学と英語に関して、通常レベルか、よりレベルの高いテストか、という選択肢があるのです。本番直前に、自分の志望校に合わせた難度で試験を受けられるのも、北辰テストの特徴と言えるでしょう。
北辰テストとV模擬の違い
V模擬とは、進学研究会が行っている、高校入試対策としての模擬テストのことです。こちらもやはり受験生にとっては重要度の高い模試で、利用者も多いです。そこで、北辰テストとV模擬の違いを理解して、どのように活用したら良いのかを検討しましょう。
出てくる偏差値の違い
実施される年によって違いはありますが、北辰テストとV模擬を同じ学生が受けた場合、算出される偏差値に多少の違いが出てくるケースが多いです。傾向としては、北辰テストと比べると、V模擬のほうが偏差値が低く出てきます。
V模擬は、都立高校と千葉県立の高校、そして私立や国立の高校を対象としたものです。ある程度志望校が限定されている学生向けとなります。V模擬の対象となっている学校を受けるのではなく、埼玉県内の高校を狙っているのであれば、北辰テストの偏差値を採用しても問題ないでしょう。
学力レベルの違い
この偏差値の差は、テストを受ける学生の全体的な学力の差と考えることができます。北辰テストは埼玉県の多くの学生が受けますが、V模擬は首都圏の一部の学生だけが受けます。そのため、どうしてもV模擬のほうが全体の学力レベルが高くなり、相対的に偏差値が低く出るのです。
また、一口にV模擬と言っても、都立向け千葉県立向け、私立向けなどのコースが用意されています。どのコースを選ぶかによっても、学力レベルが変わってきます。一方の北辰テストは、7回目と8回目は2バージョンありますが、それ以外はすべて同じ問題ですので、より平均的な数値になると言えるでしょう。
学力判定の信頼度
出てくる偏差値によって、狙う志望校が変えなければいけないこともあります。それだけに、どちらをどのくらい信頼したら良いかという問題が出てきます。
もし都立を含む埼玉県外の高校を受験するのであれば、より首都圏の学生が参加することが多いV模擬のほうが安心感があります。一方で、埼玉県の公立高校を受けるのであれば、北辰テストが最も標準的と言えるでしょう。問題レベルや偏差値については、いずれも信頼度の高いものですので、どちらが優れているということではなく、志望校をどこにするかで変わってくると考えると良いでしょう。
テストの効果的な活用方法
今まで見てきたように、北辰テストにもV模擬にも異なる特徴があります。そのため、どちらが良いかという考え方ではなく、上手に模試を活用していくことが重要になってきます。どんな活用法を取ったら良いのかを考えていきましょう。
定期的に受けて進歩の度合いを測る
北辰テストのメリットは、中学1年から受けられること、かなりの回数受けられることにあります。せっかくの機会ですので、受験が近づいてきたタイミングだけではなく、初期から受け続けると良いでしょう。点数や偏差値という形で、自分の学力の成長を客観的に知ることができます。
たとえば、初めのころはあまり入試のことを意識していなかったり、テスト慣れしていなかったりして、低い偏差値しか取れないかもしれません。しかし、受験に向けて頑張り始めたり、勉強方法を変えたりしたことで、その後のテストで徐々に点数が上がっていく様子が可視化されていくことがあります。はっきりと頑張りの結果が見えることで、自信をつけられますし、さらに頑張るモチベーションを保てるでしょう。
中学1年のころなどは、まだはっきりと志望校が絞り込めていないため、北辰テストを受ける必要性を感じにくいかもしれません。しかし、こうしたメリットを考えると、将来に備えて早めに受け始めたほうが良いわけです。
異なる模擬を受けて応用力を身につける
確かに、埼玉県内の高校を受けるだけであれば、他地域を対象としたV模擬などのテストを受ける必要性は感じないかもしれません。しかし、それでも異なるテストを受ける価値はあります。というのも、模試は種類によって問題の傾向が異なるからです。また、受けるときの雰囲気も違うものです。
いつもとは異なるタイプの模試を受けることで、慣れと共に応用力を身につける助けとなるでしょう。結果として、志望校を最終的に決めるときに選択肢の幅が広がるかもしれませんし、実際に受験をするときにも、応用力があることでゆとりを持って問題を解ける部分が増えることになります。
総合的に判定をする
上記のように、北辰テストとV模擬では、同じ人でも偏差値に差が出てきます。これは、冷静かつ総合的に自分の学力を知るきっかけともなります。何事もそうですが、1つの結果だけではなく、いくつかの物事を絡めて総合的に判断をしたほうが正確性が増すわけです。その結果を見て、もっと頑張ろうという気持ちになれるかもしれませんし、思ったよりも自分の学力が伸びていることが分かったら、志望校のランクを上げたり、都立高校を受けることを検討したりすることもあり得るでしょう。