勉強にやる気が出ないと感じるのは多くの中学生にとってよくある悩みです。やる気が出ない時期が続くと勉強の進み具合に不安を感じることも多いでしょう。しかし、やる気が出ないのには何らかの理由があるものです。ここでは、その原因を探りながら、やる気を取り戻すための具体的な方法を紹介していきます。
中学生が勉強のやる気を失う原因とは?
勉強にやる気が出ない理由は一つではありません。中学生が抱える日常生活のストレスや勉強に対するプレッシャー、また、自己肯定感の低下などさまざまな要素が絡み合い、勉強に対するモチベーションが下がってしまうことがあります。
学校生活や部活の疲れ
中学生の生活は勉強だけではなく、学校生活や部活動が大きな部分を占めています。朝から夕方まで授業を受け、その後に部活動をする中学生にとって、1日の終わりにはすでに疲労が溜まっていることが多いです。体力的に疲れている状態では集中力が続かず、勉強に手をつける気力が湧かないのも無理はないですよね。特に、運動部など体力を消耗する部活に所属している場合、放課後に自宅で勉強するだけの元気が残ってなく、それが続くと次第に勉強から距離を置くようになってしまいます。
また、精神的な疲労もやる気を奪う要因の一つです。クラスメイトとの人間関係の悩みや、部活内でのプレッシャー、さらには親や先生からの期待に応えなければというプレッシャーが重なり、心身ともに疲弊することがあります。その結果、勉強に対するやる気まで失ってしまうというケースです。
勉強に対するプレッシャー
受験が近づくと誰しも試験や成績に対するプレッシャーを強く感じがちです。また、定期テストや模試で思うような結果が出なかった時、「自分は勉強が苦手だ」「どれだけ勉強しても成績が上がらない」といった否定的な考えが頭をよぎることがあるでしょう。このような自己否定的な考え方に陥ると勉強に対してのやる気が失われてしまいます。
さらに、親からの期待や周囲と比較されることもやる気を削ぐ要因です。親が「もっと頑張りなさい」「他の子はもっとやっているのに」と言ってしまうと、勉強が義務感に変わり、プレッシャーが一層増してしまいます。
勉強の成果が見えにくいことへの不安
中学生の多くは勉強をしてもすぐに成果が出ないことに焦りや不安を感じるのではないでしょうか。特に、受験勉強のように長期的な目標に向かって進む場合、毎日の努力が目に見える形で現れにくいため、やる気を保つのが難しくなります。勉強しているのに成績が伸びないと、「やっても意味がないのでは」と思うようになり、勉強に対する意欲を失ってしまうのです。
勉強へのやる気を引き出す方法
やる気を失ったとき、それを取り戻すためには戦略的なアプローチが必要です。ただ待っていてもモチベーションは自然には戻ってきませんよね。そこで、やる気を引き出すための具体的な方法を紹介します。
小さな成功体験を積み重ねる
やる気が出ない中学生にとって、いきなり大きな目標に挑むことは逆効果になります。大きな目標は達成までの道のりが長く、途中で挫折してしまうリスクが高いため、最初から大きい目標を掲げるとかえってやる気をなくしてしまいやすいです。そこで重要なのが、達成可能な小さな目標を設定し、その積み重ねでやる気を取り戻すことですね。
たとえば、毎日数学の問題を5問解く、英単語を10個覚えるといった短時間でできて、かつ具体的な目標を設定することが効果的です。小さな目標であれば、少し頑張れば達成できる、そのたびに達成感を味わうことができます。この「できた!」という感覚が勉強に対するポジティブな気持ちの源泉です。
目標を達成した後に自分にご褒美をあげるという方法も有効でしょう。たとえば、勉強の後には少しだけ好きな音楽を聴いたり、好きなお菓子を食べたりするといったことです。勉強の後には楽しみが待っていると思えば、勉強に対するやる気も湧いてくるでしょう。
こうした小さな成功体験と楽しみのサイクルがモチベーションの向上に寄与するのですね。
好きな科目や興味のある分野から始める
勉強に取り組む際、苦手な科目から始めてしまうと最初から挫折感を味わい、さらにやる気をなくしてしまいやすくなります。そこでおすすめなのが、まずは好きな科目や興味のある分野から勉強を始めることです。好きな科目の勉強なら、それは「苦行」ではなく「楽しみ」になるのではないでしょうか。楽しみなことをやると思えばやる気も自然と湧いてきます。
また、好きな分野であれば理解もしやすく、短時間で成果を上げることができるため成功体験を積み重ねやすいのも利点です。好きなことに没頭しているうちに勉強への抵抗感が薄れ、自然と他の科目にも取り組む意欲が出てきます。
さらに、好きな科目でテンポよく勉強を進めていると、脳が活性化して集中力も高まります。この状態をうまく利用して苦手な科目に取り組むのです。いきなり難しい課題に挑むのではなく、得意なことから始めることで勉強全体に対する心のハードルを下げることができるわけですね。
中学生が勉強の習慣をつけるためにできること
勉強に対するやる気を持続させるためには、一時的なモチベーションだけではなく、日常的に学習を続けるための環境や習慣を整えることが大切です。習慣化することで、やる気が出ない日でも自然と勉強を始められるようになります。
勉強に集中できる環境づくり
勉強を効率的に進めるためには集中できる環境を整えることが非常に重要です。家で勉強する際、テレビやスマホなどに気を取られてしまうという中学生は多いのではないでしょうか。しかし、一度途切れた集中力を取り戻すのにはかなりの時間と労力がかかります。したがって、まずは物理的に勉強に集中できる環境を作り上げることが必要です。
静かな場所を選び、できれば机の上には必要最小限の教材だけを置き、余計なものはすべて片付けておくとよいでしょう。スマホやゲーム機などの誘惑になるものはあらかじめ手の届かない場所に置くのが理想的です。通知が鳴るとそのたびに集中力が途切れてしまうため、スマホをそばに置いておくとしても勉強中はおやすみモードや通知オフにしておきましょう。
さらに、勉強する空間そのものを整えることも集中力を高める助けになります。明るい照明、使いやすくて整頓された机、座り心地の良い椅子、さらには適度な温度と湿度の調整など身体的に快適な環境が整うことで自然と勉強に対する集中力も高まります。
毎日のルーティンを作る
勉強をやる気に左右されずに続けるためには、学習を習慣化することが最も効果的です。習慣化されれば、たとえその日にやる気がなくても、決まった時間になると自然と勉強を始めることができるようになります。これは、毎日の生活に規則正しいリズムを取り入れることによって、身体と心がその時間に勉強する準備を整えるからです。
まずは、自分が最も集中できる時間帯を見つけ、その時間を勉強に充てることをおすすめします。朝が得意な人は朝の時間帯に、夜の方が集中できる人は夜の時間を使うとよいでしょう。そして、その時間帯に毎日必ず勉強を始めるように心掛けます。たとえば、夕食後の7時から9時までを勉強時間に設定したのなら、どんなにやる気がなくても、また別の用事で忙しくても、その時間には必ず机に向かうようにするのです。
ルーティンを作るためのポイントは、最初のうちは無理のないスケジュールを設定し、とにかく続けることにこだわることです。最初は5分、10分でもかまいません。毎日同じ時間に勉強を始めると次第にそれが当たり前になり、やる気の有無に関係なく机に向かえるようになります。また、ルーティンを続けることで自分なりのリズムができ、徐々に勉強に対する抵抗感が減っていきます。
やる気が出ないときの気持ちの切り替え方
どうしてもやる気が出ないというときは気持ちを上手に切り替える方法を試しましょう。気持ちがリフレッシュするとふたたび勉強へのやる気が湧いてきます。
ポモドーロテクニックなど短時間で集中する方法を試す
長時間集中して勉強に取り組むのが難しい場合、短時間で効率的に集中する方法を試してみましょう。おすすめは、25分間集中して作業を行い、その後、5分間の休憩を取る「ポモドーロ・テクニック」という方法です。これはやる気が出ない時こそ効果があります。終わりの時間が決まっているので、やる気を失っても「あと少しだけ頑張ろう」と思いやすくなるからです。25分-5分のサイクルに限らず、自分に合った時間の区切り方をいろいろ試してみてください。
休憩の取り方を見直す
やる気が出ない大きな原因の一つに、疲れやストレスが溜まっていることが挙げられます。このようなときに無理に勉強しようとしても能率は上がりません。かえってどんどんやる気が失われてしまいます。疲れたときは休憩を取って、気分をリフレッシュすることが大切です。
休憩中には、軽いストレッチや深呼吸を行うとよいでしょう。心と体をリセットし、ふたたび集中できる状態になります。ただし、休憩中にスマホを見たり、ゲームをするなどの刺激の強い活動はおすすめできません。逆に脳を疲れさせることもあるため、勉強の合間には余計な刺激は入れず、静かに目を休めるようにしてくださいね。
まとめ
やる気が出ないときには無理に勉強を続けるのではなく、短時間集中できる工夫やリフレッシュ方法を取り入れるなどして、気持ちを切り替えることが大切です。また、小さな成功体験を積み重ねることでやる気を引き出し、好きな科目から始めるなどの工夫も有効ですね。また、集中できる環境を整え、毎日のルーティンを作ることで勉強が習慣化されやすくなります。やる気が出ないとお悩みの中学生は、ぜひこうした対策を取り入れてやる気に左右されずに勉強できるようにしましょう。